最近になり「アパレル業界の闇」について、騒がれることが!!
SDGsの多くの目標に影響する、大量生産・大量廃棄、人権…多くの問題。
そんな「世界を変えたい!」と、中田敦彦さんが洋服の新ブランドを立ち上げました!
着物業界も同様の問題を抱えている今、ユーザーも含め学ぶ事が多いのでは!?
着物のサスティナブルな衣類としての本来の機能も、中田敦彦さんの発信力をヒントにしたら取り戻せるのかも!?
・サスティナブルブランドの取り組みと課題
・採算度外視!?中田敦彦さんが新ブランド立ち上げ!
・サスティナブルな着物の業界復興の鍵は、SNS発信!?
・新アパレルブランドに見る着物の未来とは!?
最後まで読んでみて下さいね!
アパレル業界におけるサスティナブルな取り組みとは?
着物業界のみならず、業界全体の問題と、サスティナブルブランドの取り組みの指針について。
アパレル業界に起きている問題の背景とは?
持続可能な世界に向けて障害となる、アパレル業界における問題とは?
環境問題と大量生産・大量廃棄問題
現在のアパレル業界には、環境問題と大量生産・大量廃棄というかなり根深い問題があります!
効率や利益だけ意識された衣服の生産の過程の問題では、
- 運搬などに伴う二酸化炭素を排出
- 大量の水の使用
- 化学物質による水質汚染 などなど
そして、送り出された衣服の問題として、
- 大量の在庫やブランド価値維持のため新品でも捨てる
- 流行の移り変わりの早さに使い捨てにされる
- 化繊は多くのマイクロプラスチックを生み出し海洋汚染になる
- 殆どの衣類は再利用されない などなど
化学繊維の生地や既製品の増えた着物業界も他人事ではないし、リペアされずに大量に捨てられる着物については最近も話題になっています!
人権問題
効率や利益を追い求めることは、弱い立場の人々から搾取する人権問題でもあります。
長時間労働や低賃金、劣悪な労働環境とずさんな管理体制…。
そんな中、2013年4月24日にはバングラディシュの縫製工場で、大規模な建物の崩落事故が起き、数千人の死傷者を出しました。
その縫製工場「ラナプラザ」では、安全を軽んじて増築された違法建築物の中、労働者は劣悪な環境下で低賃金の長時間労働を強いられていたそうです。
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ref.wasedaさんの人気投稿では、もっと深く確認できます!
「着物は国産では?」と思う人も多いかと思いますが、海外依存しているのは、一緒です!
中小企業・町工場の淘汰問題
近年、丁寧なものづくりで高い技術の、日本の町工場の仕事が減っています!
これは、安い値段で買えるファストファッションと、ステータスを買うハイブランドの二極化が進んだ結果と言えます。
大量生産して低価格帯で販売される衣類が溢れる中、中量生産のブランドが生き残れない現状にあります。
低ロットで発注を受けていた町工場は、苦境に立たされています!
着物の各地の銘柄生地の多くは、この価格帯であることは言うまでもありません!
サスティナブルブランドの取り組みと課題とは?
サスティナブルな衣服も生まれ初めています!
サスティナブルブランドの取り組み
SDGs(持続可能な開発目標)では、『つくる責任とつかう責任』を始めとした多くの目標において、生産者・消費者双方に課題を出しています。
衣服の生産〜廃棄までの過程において、サスティナブル(持続可能)であることを目指します。
労働者もフェアに扱い、生産過程での持続可能性を考えるべきとする世論が大きくなり、多くのアパレルブランドが変革を迫られています。
それを受けて生まれた「サスティナブルブランド」が意識する、持続可能な取り組みのポイントは…
- 必要な分や受注された分だけ生産する
- 生産過程を公開する
- 環境に配慮する
- 流行に左右されず、高品質なもの
- 社会・倫理に配慮し、労働者にフェアであること
- 修繕・リメイク・リサイクルする
- 衣類のシェアサービス
- 不要品は途上国に譲渡する
などなど、があります!
そして、消費者(ユーザー)も意識変革しなくてはいけない時代がきています!
価格が高い上に認知度が低い現状
意識の高い「サスティナブルブランド」ですが、課題は山積み!!
本当にいいものを小ロットで、人権を侵害せずフェアトレードで作る…。
当然、価格が高くなってしまいます!
また、大きな利益を生まないため、広告料もかけられません。
これまた当然、多くの人に認知されません!
採算度外視!?新アパレルブランドの立ち上げ!
多くの問題点と課題を抱えるアパレル業界。
Youtuberとして活躍する中田敦彦さんが、そんな業界を変えようとサスティナブルブランドを立ち上げました!
洋服のブランドですが、着物業界においても参考になるはずです。
まずはこちらをどうぞ!
革新のポイント!
新ブランド「カール・フォン・リンネ」の革新に迫ります!
完全受注生産
必要な人に必要な分だけ生産する!
必要最小限、一切の無駄のない方法ですね。
ウイークポイントは「手元に届くまで時間がかかる」ところですが、それさえも「楽しみにして待つ」という発想の転換で強みにすら感じます。
原価と原価率を公開
業界ではタブーとされてきた原価率を公開するそうです。
なんとかビジネスが成り立っているサスティナブルブランドで50%のところ、なんと65%!!
もちろん、人件費・手数料等は別に掛かり、利益はほとんど出ません。
いいものでも、高価なら着られるのは一部の人…。
「世界中の人にきっかけを!」中田さんのそんな思いが伝わります!
生産過程を公開
「日本の町工場の技術力は高い」と言われるが、それを適正に評価出来ているでしょうか?
生産過程を公開するということは…
- 人権侵害を防ぐ
- なぜ高品質なのかを証明する
- 生産者の技術力を理解(再確認)する
- 消費者に安心感と期待感を与える
生産工程の透明性を保つことで、適正価格を知ることが出来ます!
ちなみに、着物の反物でも知られる「遠州木綿」なども採用されています。
かつデザイン性も妥協なし
高品質なだけでなく、実績ある有名デザイナーが手掛けるんです!
オーソドックなデザインはもちろん、オシャレなデザイン性も妥協なし!
社会貢献と課題
「大量生産・大量廃棄の現実、ひいては地球の未来を変えたい!」
それを実現するために、多くの無駄を出さず、原価率を高く設定できるキモとなるのが「完全受注生産」!
とは言え、薄利なのは変わりがないワケで、「サスティナブル(持続可能な)」な取り組みになるかは未知数です。
動画の中で中田さんは、この取り組みを「社会貢献」と言っています。
「世界中の人に知るきっかけを作りたい」「社会実験」
本業があるからこそ、無謀かもしれないチャレンジが出来、成功も失敗も引っくるめて公開することで、後発組の道標になるのだろうと思います!
と、ここで一石を投じます!
ここからは、僕個人的な意見です!
中田さんの取り組みは素晴らしいですが、とは言え一石を投じたいと思います。
この取り組みの課題とは、
- 運営に多くのリスクが伴う(当然、中田さんも認識しており動画でも語られています)
- 本質的はサスティナブルな衣類にするには、使用後の再利用(リペア・リサイクル)も考慮すべき
と考えます。
まず一つに、持続可能な商売の基本は「三方良し(生産者よし・販売者よし・消費者よし)」なはず!
このままでは、中田さん一人負けの可能性を否定は出来ません。
そして、個々のオーダーサイズなので、古着市場に出た時にサイズの指標がありません。
フリマサイトでの2次流通が多くなっている昨今、工夫が必要になってくるのではないでしょうか?
新アパレルブランドに見る着物の未来!
サスティナブルブランドが生き残るのは容易ではありません。
それでも未来を明るくするには、どうすべきなのか?
今の常識を疑う
- タブーに切り込んで原価率や生産過程を公開
- 業界の常識も他の業界では非常識なことがある
- 古着から糸を再精製することができる事を知る などなど
常識を疑い常識を変えるには、リスクもコストも掛かります!
集客と教育がキモ
- コストを販売価格に乗せないためには、広告費は掛けられない
- 常識を変えるためには、大衆を味方に付けなくてはならない
- 販売価格に乗るコストが適正であるかどうかを、消費者は理解しづらい などなど
これらを解決する鍵は、「コストの掛けない集客」と「適正価格を理解してもらう消費者教育」なのだろうと思います!
SNS発信が「知る」きっかけになる!
ならば、集客と教育にはSNS発信が超重要!!
中でも、生産者側の発信が最も必要だと思います!
職人気質の生産者にとっては、「いいものを作れば評価してもらえる」と思っています。
その考えは間違っていませんが、ユーザーに認知されなければ発展はありません。
今回の新ブランド立ち上げは、中田敦彦さんがその代弁者になっている側面があります。
ここでは、着物の生産者の発信を紹介します!
この投稿をInstagramで見る
この投稿は、紅型染の「あやせ染芸」さん。
本日の作業。織り。
今織っているのは、白絣の着尺。
藍染に出している糸が返ってくるまでに織り上げたい。
あともうちょっと…!#染織 #手織り #機織り #絣 #藍染 #木綿 #着尺 #着物 pic.twitter.com/OzErkuYEx1— つぶやきキヨー (@awoni_sensyoku) August 15, 2021
「つぶやきキヨー」さんのツイート。日常の様子とともに、職人としてのツイートもされてます。
着物サロン「巧流」さんの和裁士のお父さんの作業映像です!
日本の職人さんたちの技術力や手間を、消費者が理解し、適正価格を知るきっかけは、多くの着物に関わる人(消費者も!)の個々の発信力なのではないでしょうか?
新アパレルブランドに見る着物の未来!
先程も話しましたが、「世界中の人に知るきっかけを作りたい」「社会実験」とする新ブランドは、中田敦彦さんの発信力があるからこそ成り立っています。
原価率をギリギリにするのは、販売者側にリスクが伴います。
本来であれば、サスティナブル(持続可能)なビジネスは「三方良し」でなくてはなりませんが、全て分かった上で、中田さんは身を切って示そうとしてくれようとしています。
ここで、洋服と着物は違うと思ったり、アパレル新参者と侮ったりする、そんな着物業界古参に未来はありません!
一般的に着物は洋服より再利用に優れているので、更に発展させる可能性があると感じて、この取り組みを注視して頂きたいと願います。
着物のサスティナブルな機能を取り戻す、未来のヒントが見出だせるかも?
括目です!!
「サスティナブルな取り組みとは?」のまとめ
大量生産・廃棄、人権問題「アパレル業界の闇」!
そんな「世界を変えたい!」、中田敦彦さんのサスティナブルブランドの取り組み!
新アパレルブランドに見る着物の未来について、僕の考えをまとめてみました!
- アパレル業界における問題と課題について
- サスティナブルブランドの取り組みと課題について
- 採算度外視した中田敦彦さんが新ブランドについて
- 生産者のSNSの重要性について
- サスティナブルな着物の未来について
「社会貢献」と位置づけ、身を切る中田敦彦さんのメッセージを受け、ジャンルは違えど着物の本来の良さを取り戻すことができるのは、僕たち自身にアリ!ですよ。
ちなみに、「SDGsと着物」の関係性について書いた記事はこちら!
最後までご覧頂き、ありがとうございました!